Label: Verve
Producer : Andy Warhol, Tom Wilson
Art Direction : Andy Warhol
Nationality : USA
Running Time : 48:34
ヴェルヴェット・アンダーグランドのデビュー当時はイマイチ
1967年のヴェルヴェット・アンダーグランドのデビューアルバムでニコが参加して5人によるデビュー作。このアルバムは、わずか2,000ドルで制作された事でも後に有名になりましたが、やはり、ポップ・アート界のカリスマ、アンディ・ウォーホルがプロデュースしたことや、ジャケットのバナナを描いた事で有名なアルバムです。
しかし、アンディ・ウォーホルが絡んだにもかかわらず、アルバムリリース当時は、全米171位と商業的には、振るいませんでした。
当時1967年は、多くのバンドがラヴ&ピースを謳歌していました。ドアーズ、シュープリームス、ラスカルズ、ビートルズ、ジェファーソン・エアプレインなどがチャートインしてた時代です。
アンディ・ウォーホルの関与と存在
このアルバム「ヴェルヴェット・アンダーグランド&ニコ」のジャケットには、タイトルもグループ名も載ってなく、アンディ・ウォーホルの名前と描いたバナナが描かれているだけです。視覚的には、アンディ・ウォーホルの作品としか見えません。また、ヴェルヴェット・アンダーグランドのリーダーはアンディ・ウォーホルと思われてるふしもあります。
たしかにウォーホルの斬新なバナナのジャケットによって、多く知られることになったのは否めません。ウォーホルは、公式にデビューしていなかったヴェルヴェット・アンダーグランドをイベント制作に起用していたことがきっかけにアルバム製作にいたったとされています。
またウォーホルは、このアルバム製作にあたり、バンドの顔とも言えるルー・リードを「個性もカリスマ性のカケラもない」として、女性歌手のニコをメンバーに起用することを強要しました。もちろんバンド側は固辞しましたが、物資援助を受けていたこともあり、最終的に”& Nico” を付ける事で妥協します。
ヴェルヴェット・アンダーグランド5人目のメンバーとなった”ニコ”とは?
ニコ(本名:クリスタ・パフゲン)当時の恋人は、ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズ。ブライアンの協力を得て録音したシングル「アイム・ノット・セイイン」を名刺代わりにウォーホルと出会い。ニコが ”ファクトリー(工房)の女神” の座を手中にするまでは時間はかかりませんでした。
ウォーホルが感心したのは、ニコの取り巻きだったようです。ブライアン・ジョーンズはじめ、アラン・ドロン(一児をもうける)、ボブ・ディラン(曲を捧げる)など、アンディ・ウォーホルの有名人に弱いところがあったようで、ロック・バンドのマネージャーやプロデュースの真似事がしたかったとも、後に揶揄されもしました。
事実、ウォーホルは、原盤権をわずかな金額でヴァージン・レコードに売る渡しています。買い取ったのは、ヴァージン・レコードのプロデューサー。トム・ウィルソン。彼は、ニコを際立たせる曲が必要と判断し、A面1曲目に「サンデー・モーニング(日曜の朝)」を追加録音します。
後に名盤となる「ヴェルヴェット・アンダーグランド&ニコ」
「サンデー・モーニング(日曜の朝)」は、間違った時間に起こされた、地下生活者のため息のようにも聞こえるが、微妙な距離感でのニコのけだるくも乾いた叙情的なハーモニーがフォーク・ロックの名盤のオープニングを引き立てています。
アルバムでは、ドラッグ、同性愛、SMなどの刺激的な題材を用いた歌詞と、ロックンロールのありかたを解体せんとするシンプルかつ不思議な間合いのバンド・サウンドがデビュー作ながら完成形となっています。
彼等は、ドラッグでの快楽ではなく苦悩を歌い、社会の理想ではなく暗部を歌い、その徹底したリアリスト(現実主義者)ぶりが、時代を経ても風化から遠ざけているとも言われています。
デビュー後、このシンプルさの中の異端的な感性に反応したのは、一部のヒップな連中やアート関係の人間でした。ですが、リー・ルードがソロ活動に入る70年代前半を経て、その後のパンクや、ニューウェーブの連中の中では、このアルバムを通ってないアーティストはいないほどの評価になっていきます。
The Velvet Underground-Sunday Morning
(出典:ビートルズから始まるロック名盤)
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